症例報告

高校生サッカー選手。右の股関節(足の付け根)が痛い(10代男性)

2ヶ月前からボールを強く蹴る時に右の股関節(足の付け根)が痛むようになった。
怪我をした記憶もないが、ある日からボールを強く蹴ると足の付け根が痛むようになった。練習の最後のほうになるとより痛みが強くなる。
その1ヶ月前からなんとなく腰の調子が悪い気がしている。中3の時にぎっくり腰になって以来、時々腰の調子が悪い。
足の付け根が痛むようになり近所の整骨院に行ったが、良くならなかった。
グロインペイン症候群というものだとネットで見て、何か改善策はないかと考えサンフラワーカイロプラクティックに来院した。

<初診時状態>
・姿勢を見ると、やや右に重心がかかっている
・股関節の検査をすると、屈曲方向に強く曲げる動作、股関節を開く動作で痛みがある
・身体の安定性を見ていくと、左足で片足立ちになるとふらつく。右は左に比べるとふらつきが少ない
・腰を反らす動作で腰の中央部に痛み

<経過>
いわゆるグロインペイン症候群という状態で、右足の付け根の筋肉を痛めている状態が見られたが、それに関わる要素として左足の安定性の悪さや腰の問題が見られたので治療した。
初回はまず腰のほうからアプローチ。腰椎の関節に引っかかりがあり痛みを起こしているので腰の矯正を行い、左足の安定性の悪さに関わる左お尻の筋肉と左足首の調整。
その状態で右股関節の検査をしたところ、強く曲げる動作での痛みが消えていた。股関節を開く動作での痛みが残っていたので、腰と股関節を結ぶ筋肉(大腰筋)のアプローチを行う。施術後は股関節の可動域が良くなったが、最終域で少し痛みが残る。
股関節の検査での痛みが取れるまでは、強く蹴る動作を控えてもらう。

2回目(3日後)。この3日間は軽いパス回しと走るだけにしていた。股関節の検査をすると強く曲げる動作で少しだけ違和感があるのと、開く動作の最終域で少しだけ痛みあり。継続してアプローチ。もうしばらくは強く蹴るのを控えてもらう。

3回目(3日後)。最近腰も調子がいいし、なんか脚が軽いように思うので練習で強く蹴ってみたところ、痛みがなかった。検査では股関節を開く動作で少し違和感があるものの痛みはなく、左足の安定性も悪くない状態。継続してアプローチし、自分でできるストレッチ法を教えた。
それほど問題がなさそうだったので普通に練習するように伝え、10日後くらいに様子を見せに来るように伝える。

4回目(10日後)。強く蹴っても痛みなし。検査でもスネに張りが出ているのと少し骨盤のバランスを崩しているのが気になったので施術。調子も良さそうだったのでまたおかしくなったら来るように伝えて終了した。

担当 小幡コメント

グロインペイン症候群というのは、鼠径部痛症候群、つまり鼠径部(=足の付け根)が痛むという状態で、サッカー選手にはよく見られる症状です。
一般的に言われているのは、繰り返し行うキックで鼠径部の筋肉が疲労したり炎症を起こすことで痛みを起こすというものです。

なので疲労している鼠径部の筋肉を緩めたりすれば痛みが治まりそうに思うのですが、実際にはそれで解決するケースは少ないように思います。
この方の場合、反対足(=左足)の安定性が悪いために右の股関節に痛みを起こしている状態でした。

右足でボールを蹴る動作を見ればわかりますが、左足が軸足として片足立ち状態になり、右足で蹴ります
検査では左足で片足立ちになると明らかにふらつきがありました。軸足である左足が不安定な状態で右足を強く蹴ろうとしてもうまくいきません。軸が安定しない分、右足で強く蹴ろうとすると右足の軌道がぶれるような形となり、余計な力が入った分痛めたのだと思います。
例えるならば、不安定なトランポリンの上で強くキックしようとしても、うまく蹴れないですよね。そこを無理して蹴っていればどこか痛めそうです。

片足立ちに関係する足首とお尻の筋肉の調整を行い、そのうえで右股関節の調整を行いました。
痛いところだけに原因があるわけではありません。なかなか良くならない症状の場合、一つ一つの動作を分析して考えると症状改善の近道となります。

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