つい先日ですが、当院にお越しいただいている方が、ダンスで足が痛くなってしまい、足を付くのも困難だし、安静にしていてもかなり痛いという症状があったそうです。
当院まで来るのは遠すぎる、歩けない、ということで近所の整骨院に行ったそうですが、処置などについてはかなり疑問がありまして。
Contents
症状
ダンスの練習を頑張りすぎて足が痛くなった、というお話でしたが、かなり腫れが出ていたのと、歩こうと足を付くにも痛いし、そもそも安静にしていてもかなり痛かったそうなのです。
整骨院に行ったところ、その足が異常に冷えているから温めてください、と言われたそうなのですが、そもそもかなり腫れあがった足です。
腫れているのに温めてもいいの??と思って聞いたところ、それは腫れではなくむくみでしょうと言われたそうです。
実際に触ってみるとかなり足が冷えていたようなのですが、この話を聞いていて、たぶん下肢コンパートメント症候群だったのではないかと思ったわけです。
下肢コンパートメント症候群
下肢コンパートメント症候群と言うのはあまり聞きなれない言葉だと思います。
一番多いのは、下腿の骨を骨折したあとの二次障害として起こるものです。
コンパートメントというのは【区画】を意味するのですが、膝から下は、筋肉によっていくつかの区画に分かれています。
何らかの原因、例えば骨折したとか、筋肉を損傷したなどで腫れが起こった場合に、区画内の圧力が高まりすぎてしまい、血管や神経を圧迫してしまう障害を下肢コンパートメント症候群と言います。
腫れを起こすくらいなので、まず痛いです。
そして神経や血管を圧迫してしまうため、そこから下は虚血状態になります。
なので触ると冷えています。
この方は、この症状が落ち着いて普通に歩けるようになってから当院に来院されたのですが、下肢コンパートメント症候群の話をしたところ、調べてみたら全部当てはまっていたと驚いてました。
下肢コンパートメント症候群については、カイロプラクティックでも整骨院でも、施術すべきものではありません。
というのも、腫れによって血管や神経が圧迫されて虚血状態に陥っているので、最悪の場合、足先が壊死します。
なので一般的には外科的手術で対応するものです。
いわゆる【冷え】の場合、両側ともに起こります。
片側だけ触ると冷えているというのは、その冷えている側の足に重大な血管の圧迫や、血管の塞栓などがある可能性が高いわけです。
この方はたまたま腫れが引いてきたので壊死等には至らずにすんでますが、状態を知って恐ろしくなったそうです。
いわゆる【血行不良】レベルではなくて、循環器系の障害をスクリーニングする検査法はあります。
例えば、爪を圧迫すると、ピンク色から白になりますよね。
そして圧迫を離すと、またピンク色に戻ります。
このピンク色と言うのは血液の色です。
圧迫することで一時的に虚血状態を作り出してますが、圧迫を解除すればまた血流が戻りピンク色になります。
これをやってみて、大丈夫なほうの足と比べて著しく色の戻りが悪いときは、血行不良などというレベルではなくて、血管が詰まっているなどの障害が疑われるわけです。
たかだか足の怪我と思いがちですが、こういう症状は実は救急外来に行くのが正解です。
足の怪我から壊死する可能性もあるということ、覚えておいて損はないと思います。
コメント